結論から言うと、中国では現金はほとんど使えません。日本人が中国へ行く前に必ず準備したいのは「スマホ決済(Alipay/WeChat Pay)」の設定です。ふだん現金とカードで生活している日本人にとって、これが最初にして最大のカルチャーギャップになります。日本国籍は30日以内の観光ならビザ免除(2026年12月31日まで)で渡航できるため、手続きのハードルは下がっていますが、決済の準備だけは出発前に済ませておく必要があります。本記事では、なぜ現金が使えないのか、出国前に何を準備すべきか、現地で困らないコツ、そしてよくある質問をまとめます。
なぜ中国では現金が使えないのか
中国ではここ数年で決済のほぼすべてがスマホに移りました。屋台や小さな商店、タクシー、寺の賽銭箱のような場面まで、QRコードを読み取って支払うのが標準です。日本のように「現金なら必ず通じる」という前提が通用しないため、現金しか持っていないと、財布に十分な人民元があっても買い物ができない、という状況が起こります。
さらに、中国の店員はおつり用の現金をほとんど用意していません。結果として、現金は“非常用の保険”としては使えても、日常の支払い手段としては期待できないのが実情です。
出発前にやるべき準備チェックリスト
準備は「出発の1週間前」を目安に進めると安全です。順番は、カード登録 → パスポート認証 → 通信の確保 → 動作テストの4ステップ。以下でそれぞれを確認します。
- Alipay と WeChat Pay の両方を設定する — 中国の店舗はどちらか一方しか対応していないことがあるため、両方入れておくと安心です。いずれも日本発行のクレジットカードを紐付けて利用できます。
- 本人確認(パスポート認証)を済ませる — 日本のクレジットカードを登録したうえで、パスポートによる本人確認を完了させます。認証には数日かかる場合があるので、前日ではなく余裕をもって行いましょう。
- 通信手段を確保する — 決済アプリはネット接続が前提です。eSIM や国際ローミングを用意し、現地で問題なく通信できる状態にしておきます。
- アプリにログインしたまま渡航する — 渡航後にログアウトすると、SMS認証が届かず再ログインできない事態になりがちです。
- 予備の現金を少しだけ — あくまで保険として、少額の人民元を用意しておきます。
日本国籍は30日以内の観光ならビザ免除(2026年12月31日まで)で、渡航前の準備は比較的シンプルです。ただし2026年9月14日からビザ料金が大きく上がった(1回¥2,250→¥16,750)ため、「もう中国は高いのでは」と誤解する人も増えています。30日以内の観光はそもそもビザが不要なので、この値上げの影響は受けません。制度の詳細は中国ビザ免除の完全ガイドで整理しています。
現地で困らないためのコツ
設定が終われば、あとは使い方の問題です。中国の決済は「お店のQRコードを読み取る」パターンと「自分のQRコードを見せる」パターンの2つ。レジでどちらかを聞かれるので、慌てずに画面を出せば大丈夫です。
- タクシー・配車アプリ — 支払いはアプリ内で完結します。降りるときに現金を探す必要はありません。
- 屋台・小さな店 — ここが最もキャッシュレス化が進んでいる場所です。現金しか出せないと買えないことがあります。
- チップは不要 — 中国ではチップの習慣がありません。料金だけを支払います。
- 残高と履歴をときどき確認 — 二重請求などに気づきやすくなります。
決済以外の生活面での戸惑いは、日本人が実際に体験した7つのカルチャーショックと中国のトイレ事情にまとめています。あわせて読むと、到着初日のストレスがかなり減ります。
支払いがうまくいかないときの対処
慣れないうちは、読み取りに失敗したり、認証が通らなかったりします。まずは通信状態を確認し、Wi-Fi とモバイルデータを切り替えてみてください。読み取りがうまくいかないときは、店員に自分のQRコードを見せる方式に切り替えると解決することが多くあります。それでも通らない場合は、その店で現金が使えるか確認するか、別の店舗・別の支払い手段を試しましょう。
なお、決済アプリには言語設定があり、日本語表示に切り替えられます。設定を終えたら、日本国内で少額の決済テストをしておくと、現地での不安がぐっと減ります。
よくある質問(FAQ)
日本のクレジットカードは使えますか?
ホテルや大手百貨店などでは国際ブランドのカードが使える場合もありますが、街中の店舗では限られます。実用上はスマホ決済が基本だと考えておくのが安全です。
現金しか持っていない場合はどうなりますか?
買い物ができない場面が出てきます。たとえ人民元を持っていても、店側がおつりを用意していなかったり、そもそも現金を受け付けていなかったりします。出国前のスマホ決済設定を強くおすすめします。
設定にはどのくらい時間がかかりますか?
カード登録だけなら短時間で済みますが、パスポートによる本人確認に数日かかることがあります。遅くとも出発の1週間前までには済ませておきましょう。
地方でもスマホ決済は使えますか?
はい。都市部だけでなく地方でも浸透しています。むしろ現金が使いにくいのは地方の小さな店でも同じです。
家族や友人と一緒に行く場合、1人だけ設定すれば十分ですか?
1台でまとめて支払うこともできますが、はぐれたときや通信障害に備え、同行者もそれぞれ設定しておくと安心です。
スマホが使えなくなったらどうしますか?
充電切れは最大の敵です。モバイルバッテリーを必ず持ち歩き、支払い前に電池残量を確認する習慣をつけましょう。予備の現金もこのときのために役立ちます。
日本のSuicaやPayPayは使えますか?
中国の店舗では、日本の交通系ICや国内QR決済は基本的に使えません。現地で通用するのは Alipay と WeChat Pay の2つだと考えておくのが確実です。
まとめ
中国旅行で現金は「主役」ではなく「保険」です。現地の店員は現金に慣れておらず、おつりを用意していないことも多いため、現金だけに頼る旅は思った以上に不便です。Alipay と WeChat Pay を出発前に設定し、通信手段と本人確認を済ませておけば、現地での支払いはほぼノーストレスになります。
30日以内の観光ならビザは不要(2026年12月31日まで)なので、残る準備は決済まわりだけ。東京から上海なら飛行機で2.5〜3時間、時差も1時間と、距離のわりに身近な渡航先です。渡航前にこの1点を片づけておくことが、快適な中国旅行への最短ルートになります。
